trickbook

□大切な話
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顔は赤いままだけど。
視線は真っ直ぐ。
「歳なんて気にしてたのか。歳なんてどうでもいいよ。好きになってしまった以上は例え君が貧しく、IQは低くても」
「おいっ」
「綺麗だし………」
「……」
「んー……」
「……」
「………綺麗だし………好きになったタイプが好きなタイプなんだ」
めちゃくちゃだとは思ったが、それ以上に喜んでいる自分は自然に笑っていた。
「えへへ。えへへへへっ。好きですよ、上田さんのそんなとこ」
「……………すすす、す好き?!」
「はい」
「…ゆ、YOU…」
「……」
「YOU!」
頬を染めて笑う私を上田さんがぎゅっと抱き締めた時、安心したのは認めようと思う。

二人とも意地っ張りで素直じゃないからお互いに折れるしかない。
お互いに折れればもう意地は張らない。







「やっぱり、やっぱりYOUは俺が好きだったんだな。やっぱり俺みたいな天才が」
そういうやつだ。
「お前も言ったじゃないか!すす、好きだって!」
「バカめ」
「えぇ!」
上田はまだ私を抱きしめたまま、わざとらしく咳払いをした。
「……」
「………好きですよ。悪いか」
「ふっ…ふふ、ふふふふっ」
「……」
「そうか。そうだよな。うん。……俺もだ」
「……」

背中や肩に回された手は暖かく、大きな胸に顔を埋めると居心地がよかった。
上田さんの鼓動が速くなる。
こんなこと初めてだ。上田さんと一緒にいると初めてのことが多い。

『正式に恋人になったんだから同棲しよう』と言い出したのでこれからもきっと振り回されると思う。


そんな暮らしも悪くない。




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