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□大切な話
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「惜しい?惜しいんかぁ!んー!なんじゃろう……あ!わかった!」
「はい、石原さん!」
「つまり、あれじゃ。祝ってほしいんじゃよ」
「どゆこと?」
「だからの?先生は…えーと、めい……めい…」
「め、い、よ」
「め、名誉教授になったから、きっとみんな集めてみんなで祝ってほしい…んじゃないかの?!」
「「は?」」
「………………ファイナルアンサー?」
「ミリ〇ネアかよっ」
「ファイナルアンサーじゃあ!」
「お前…すっかり元気やん」

てぃらりらん……じゃららん…

「どこでなっとんねんこの音!おぉ…リアルやがな……」
「…………正解!」
「うおぉぉぉぉ!兄ぃ!わしやったよ!」
「これをプレゼント!」
上田が渡したのは高級焼肉店叙々苑のたくさん食い放題券だった。
「こ、高級焼肉店叙々苑のたくさん食い放題券?!ずるいっ!」
「ふん、焼肉屋の名前は読めるんだな。YOUは答えられなかったから駄目だ」
「だって、だってなんだもん!」
「キューティー・ハ」

ぼこっ

「ありがとーございますっ!」
「だって焼肉食い放題券だなんて!」
「兄ぃ、このチケット二人までOKじゃけぇ、一緒にどうですかいのぉ?」
「をぃ!」
「お、石原ぁー気ぃ利くやーん」
奈緒子は勢いよく立ち上がり二人を見下ろした。
「石原さん!さっきお前っ私のこと、その、す、すす好きだとか、言ってたじゃないか!で、ででデートくらい、してやっても…いいぞっ」
「え、そうなんですか?」
上田は当然ぽかんとしている。
「結構じゃよ」
「え?」
「今度お好み焼き奢っちょるけぇ、大好物の焼肉は我慢するんじゃ姉ちゃん」
「なんでだっ」
「あのー…」
奈緒子は怒りながら仕方なく再び腰を下ろし、上田を見た。
「……何ですか?」
「名誉…教授になったっていう話…なんですが」
「おぉそうや、いやぁー上田センセはやっぱり素晴らしいお方やなぁ石原ぁ!」
「はいっ!」
「この度はおめでとうございますセンセ!そのためだけに!呼んで頂いて、えぇ、我々もちょーー忙しいんですが、光栄に思っとります!」
「いや、まぁ、すみません」
皮肉なセリフに苦笑いをした。
「さすがは先生じゃ!」
石原はというと、あの事はもうすっかり忘れているようだった。
「石原さん、やき、焼肉はーっ?」
「ほな、わしらそろそろこれで失礼しますー」
「わし、応援しちょるよ先生!」
「じゃあな!山田!」
「じゃあな!姉ちゃん!」
「あぁ!焼肉が!」
「広島風お好み焼き奢っちょるゆーとるじゃろ!じゃ!」
刑事の二人はけらけら笑いながらバタンっと研究室から出て行った。
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