trickbook

□大切な話
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「やっぱりや!上田センセ、この女と結婚ですか?!」
「「はぁ?!」」
「やぁぁぁぁぁっ!」
「なんでこの女と結婚なんかしなくちゃならないんですか」
「なんやぁー違うんか」
「違いますよ!だからー」
「引っ越しするのか?」
「違うっ!聞けよ!」
「えー、この度…好評につき例のあれを出したんですよ」
すっと出したのはあのシリーズ本。

ことん

上田の顔がちゃんと、綺麗に印刷されている。
「………………」
「ははっははははっ!どぉですかぁー」
「……………」
「……………い、石原っ…お前、いけっ」
「えっ!……あ、あの…のぉ先生?…………………で?」
「「…で」」
「で?でって?」
「本を出した、というんが……大事な話…なんかいのぉ?」
「えぇ、そうですよ」
「「「えぇ?!」」」
「いや、本を出したというのもそうなんですが、はははっ、よく見てくださいよ。よぉぉーく」
全員机に身を乗り出し本を観察し始めた。
「……………」

チクタク チクタク チクタク

※ここからは少しだけノンストップでドウゾ\(__)



「ぴかっ!」
「おぉ、YOU!」
「表紙が黒い!なぜエリザベスみたいに!」
「「おぉ」」
「違う!それにエリザベスでもない!なぜベストを尽くさないのかだ!」
「あ!」
「はい、矢部さん!」
「今より……この写真の方が痩せている!」
「確かに先生ちょっと…体型変わったかもしれないのぉ?」
「違う!もっとよく見て!」

チクタク チクタク チクタク

「はぁっ!わかった!」
「はい、石原さん!」
「これを撮ったところはー…日本じゃのぉて、海外じゃ!」
「「なるほど!」」
「ちがぁぁーう!…この辺りを見てくださいよ」
タイトルの文字の回りを円を描くように触った。

チクタク チクタク

「ぴかっぴかぴか!」
「はいYOU!」
「これ!」
奈緒子が指したのは名前の上辺りだった。
「おぉ!」
「天才じゃないのに天才と偽って載せている!」
「をぃっ」
「お前なにゆーとんねん!ちゃうやろこれや!」
矢部が指したのは帯の部分だった。
「あぁ!これ矢部のコメントじゃないか!お前いつの間にっ!税金ドロボー!」
「はぁ?お前なぁっ」
「ちょっと!わからないんですか?よく見れば書いてあるでしょう!」
「あぁっ!閃いた!これじゃ!」
「はい、石原さん!」
石原が指したのは奈緒子と同じ名前の上辺り。
「天才めい…めい……ほめ教授…」
「めいよ、名誉です」
「天才名誉教授になったっちゅーことじゃないかの?の?」
「「あぁ〜」」
「大正解ですっ!さすがは刑事さん!」
「お、俺は?ねぇ〜俺はー?」
上田は石原の手をとりゆさゆさと大きく揺らしながら握手をしている。
その横で奈緒子は目を見開き、握手していなければすぐにでも殴りかかりたい気持ちでいっぱいだった。
「上田。それがなんだ」
「え?」
「名誉だからなんなんだ」
「のぉ姉ちゃん、先生はの?ふつーの教授から名誉教授になったっちゅーことを知らせたかったんじゃよきっと」
「おぉ!正解です!」
「知らせるてちょ、そんなん電話でも出来るやないですかぁー」
「それだけじゃないんです、惜しいですよ石原さん!」
「「……………」」
矢部と奈緒子は石原と上田を目を細め、交互に見た。
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