trickbook
□七夕祭り
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『次はじゃがバター!』
『次は〜…焼き鳥かなぁ』
『お好み焼き!』
『次はデザートですね。わたあめ!』
『まだ食うのかよ!』
『ん〜と…チョコバナナ!』
『かき氷食べましょう』
こんな大食いの女性は初めてだな。
食べ続ける彼女を見ながら俺は俺らしくない感情に戸惑った。
「ふう〜満腹満腹♪旨かった〜」
「く、苦し…」
「やっぱりお祭りっていいですね〜」
彼女は散々食べておいて平気な顔をしている。
さっきのことも忘れているようだった。
「またあとでかき氷食べましょう、今日暑いし」
「あんなに食っといてまだ食うのか」
「今度は何のシロップにしようかなぁ〜」
「苦しくないのか、浴衣着てて」
「全然」
「……」
今までほとんど見たことのない笑顔。
そんなに食べることが好きなのか。
俺らしくない感情がどんどん膨らんでいく。
山田奈緒子がこんなに可愛い訳がない。
終
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最後の締めがどこかで聞いたことあるようなフレーズで申し訳ないです。←