にじのゆめ、ひかりのあめ

□悪魔/正位置:スカル
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嫉妬というのは見苦しい。
スカルは常々そう思っている、のだけれども。
どうしてか最近調子が狂う。



「ちょっ…、スカル痛い」



ぎりぎりと骨が軋む程に綱吉の腕を掴めば、当然の如く抗議の声が上がった。
痛い、やめて、どうしたの?
そう問うてくる瞳の中には、恐怖という文字は無く。
寧ろあるのは心配やそこらの類のものだ。



「あ、のさー…理由を言ってもらわないと流石の俺もどうしたらいいのか」



困った様に溜め息を吐く彼の唇を強引に奪えども、相手からはやる気すら見られない。
嗚呼、腹が立つ。
どうして此方ばかりが。
あまりに腹が立ったので、掴んでいた綱吉の腕を引っ張りベッドに投げ込み押し倒す。
華奢な体格のお陰で、簡単にベッドに沈む綱吉は本気で呆れた顔をしていた。



「意味が全然分からないんだけど?」

「別に意味なんてない」

「そう?スカルの事だから、何か考えがあってやってるんじゃないかと思うんだけどな」



らしくないのは、自分でも分かっている。
意味がないのは、考えもなく行動しているからだ。
不機嫌に顔を歪めるスカルに、綱吉はやれやれと肩をすくめた。
一般に言う思春期の子供は、ここまで荒れるものだっただろうか。
綱吉は並程度の反抗期しか経験した事がなかったので、首を傾げる事しか出来ないでいる。
特にこの子供は一々難しいのだ。
敵の軍師という立ち位置での関係は今になってややこしい。
その頭脳も性格も、他の子供たちよか綱吉には歪んでいるように見えた。



「スカルー?」

「煩い」



問答無用で再び唇を重ねられ、組み敷かれてシャツのボタンが次々と開けられていく。
全く人を何だと思ってくれているのか。
スカルの、若干甘えの感じられる行動。
何処かで許されることを知っているから、こうして我がもの顔でずけずけと出来るのだ。
親しき仲にも礼儀あり。
誰も彼等に教えない常識をとりあえず今綱吉は教えておこうと思い、反撃に出た。



「……!……ッぐ、!」



瞬時にスカルの両腕を掴み逃げられないように固定してから脇腹を思いきり蹴り飛ばし、はだけさせられた服を軽く直す。
スカルは痛みに顔を歪めてゴホッと咳き込んでいる。コロネロ達よりも体力が無いのが救いだった。
綱吉はこれでもボスで、抗争時には前線に立って戦っているのだ。
なめてもらっちゃ困る。



「お前、余り調子にのるなよな」



親代わりのつもりで付き合ってきた綱吉は、スカルの恋心には気付かない。
スカルは痛む横腹を押さえながら、フンとこれまた不機嫌そうに鼻を鳴らした。


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悪魔/正位置
欲望や邪念が理性を曇らせ、満足の行く結果を得られず。

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