にじのゆめ、ひかりのあめ
□されど小学生
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小学生というのは、妙に極端な生き物である。
出来る子は限りなく出来るが、出来ない子は限りなく出来ない。
素材の問題だ。
何故か中学に進級すれば普通という枠が出てきて、しかも妙にその枠が広かったりするのだが。
「また0点かよ、ダメツナは」
あちゃー、と皆に聞こえる声で公言したリボーンに、綱吉は肩を揺らした。
クラスでは笑いが起こっている。
つられて担任も笑っていた。
畜生これだから教師は信用ならない。
「こんな塵みたいな問題も解けないなんてテメー脳味噌ちゃんと入ってんのか?」
オマケにバシバシと頭まで叩かれる始末。
最悪だ。悪魔と同じ学校に入学してしまった時から、ずっと。
この悪魔たちは1年の時から綱吉を構い倒す。
友達、だなんて安易なモノじゃない。
所詮関係はイジメっ子とイジメられっ子。この姿だけは天使のような3人とつるめることが彼等の性格を知っても尚羨ましいと思える人間がいるならば、それは紛れもなくドM人間だろう。
「先輩、また泣きそうですよ」
次にテストを返して貰っていたスカルがリボーンを軽く止めた。
綱吉は、はうーと輝かしい瞳でスカルを見つめているが、スカルの手元にチラりと見えているテストの点数は100点。
これで全ての教科が返ってきた訳だが、彼の合計点数は5教科で500点というところだろうか。
つまり満点だ。
「ま、それも一興ってな」
クツリと楽しそうにリボーンが笑う。
綱吉はビクビクしながらスカルの方へと少しだけ移動した。が、それを止める手がある。
「テメーは悪趣味なんだよコラ」
横からずい、とのびてきた腕の持ち主はコロネロだった。
彼も100点のテストを手にしている。
つまりこいつも満点。
体育バカが勉強オンチというのは、もう過去の話なのだろうか。
「んだとコロネロ。つーかそいつを離しやがれ」
「はっ、誰が」
ぎゅうと腕の絞まりが強くなって、綱吉は苦しさにもがいた。
スカルと目があったが、見てみぬフリをされた。酷い。
所詮スカルも我が身が大事なのだ。
如何に3人でつるんでいようとも、スカルは他の2人と同等では無かった。
パシリ扱いされているし。
でも酷い性格というのは共通するようで、だから彼らと一緒にいられるのかもしれない。
あとは万能なところだろうか。
「リボーン先輩、呼ばれてますよ」
コロネロとリボーンがまた喧嘩に発展しようとしていたところ、良いタイミングでリボーンの番が来た。
リボーンは舌打ちをしてからテストを取りにいく。
それなのにコロネロの腕が緩むことは無かった。
「あ、あの…」
「何だコラ」
「手、離して欲しいなー…なんて…」
半泣きになりながらコロネロに伺う綱吉に、仕方なくコロネロも逃がしてやることにした。
彼の良いところは、リボーンと比べて話が分かるところだ。
最も、一般人のそれと比べてしまえば話にならないが。
「よゆーだったな」
ほら、また。
出来すぎる子供のトップを飾る少年が帰ってきた。
勿論、100点のテストを手に持って。
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