りく
□Frenzy and Getting up
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とある情景の中を、目的地にたどり着くまで歩いている。
今まで何度も通った道だ。
真っ白だった場所には花が咲き、緑が生い茂り、蝶も飛んで小鳥も歌う。
寂しい事に陰が顔を出さないけれど、まぁそれはそれで良いのだ。
これからの為に、今は一人だけでいい。
陰なんて、邪魔でしかないのだ。
思わず顔がにやけてしまう。
思わず駆け足になってしまう。
そうして着いた目的地。
嗚呼。
居る。
ちゃんと、彼は、其処に。
サワサワと優しい風が吹き、色とりどりの花が揺れた。
ついでに、彼の髪も。
彼の元に寄りそうように近付き、手を胸元へ置き、体を揺する。
そうすれば、彼は少しだけ眉間に皺を寄せてみじろいだ。
うん。よろしい。
チチチ、と小鳥の鳴き声が響くのどかな空気を沢山肺に吸い込んで、彼の耳元に唇を寄せる。
思わず口元が緩むが仕方ない。
そしてから、愛の言葉を注ぎ込むのだ。
「おはようスカル!!早く起きなきゃ寝坊だぞ!!!」
*fin*