Episode

□Let's School Life!!2
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「「「はぁ??」」」


3人の女子生徒がとてつもなく間の抜けた声色で聞き返す。
彼女らが手にしている物は、一枚の書類。
それを見ては顔を見合わせ、また見ては目の前に居る教師を凝視した。


「あの…カーフ先生?」
「もう一度言って下さいませんか?」
「おい、カーフ。意味分かんねぇよ、説明しろ」


この3人の女子生徒は、ルイゼッラ学園に通う健全なる学生である。
詳しい解説は諸事情の為、前作のLet's School Life!!を読んで頂きたい。

そして今、彼女達は教師であるカーフ・ディヴァインに呼び出されていた。
彼から或る説明を受けていたものの、上手く解釈出来なかったらしく。
もう一度聞き返しては冗談だろうという表情でカーフを見つめた。
口を開いた順に、エイミー・高等部2年、ソニア・中等部3年──…

そして、ソル・高等部2年。


「うん、それは別に構わないけど…教師を呼び捨てとか話の上でちょっと駄目だよね、ソル
「ンな事俺が知った事か。つか、どーいう事だよ、今の話」
「そうですよ! 合宿って一体…」
「我が学園の合宿行事はもう終わったのでは?」
いたたたたたた! ちょっと! 胸倉掴むのは止めろ、ソル!! 説明するから!!」


小さく舌打ちをしてカーフを解放するソルをソニアが諫め、
痛い思いをして若干半泣き状態のカーフをエイミーが慰める。
彼の息が整った処で、ソル達は再び説明を受け直した。


カーフの話によると、ソル達は夏休み中に行けなかった合宿行事に再度行くらしい。

8月中はソルが五輪に出場していた為──詳しくは、前作の(以下略)──3人は学園行事に参加する事が出来なかった。
ソルは勿論、ソニアとエイミーは彼女の応援に同行したからである。
その為、期を挟んで参加出来なかった3人が再び行く事になったのだ。
ソルとエイミーの担任教師でもあるカーフや数人の教師と共に。
その経緯を、カーフに説明して貰っていた。


「それじゃあ、アタシ達3人だけで合宿するんですね」
「まぁ、そういう事だね」
「でも、私達だけだっていうのに行く必要あるのかしら…」
「マジ有り得ねぇ。大体何なんだよ、折角フェンシング・フルーレで金メダル獲ってきたっつーのに。イジメ?
「“イジメ?”って…どの辺りが」
「程良い疲労感とメダルの優越感に浸ってたのにかったりー合宿に行って来いって書類手渡す辺り」
「それもありますけど、アタシ達3人連れて行くだけの費用って勿体無くないですか?」
「うっ…それは───…」
「良いのだよ、それで」


的確な異議を唱えられ、カーフは上手く答えられず吃ってしまう。
視線を至る所へ泳がせていると、彼に助け船がやってきた。
扉を開いて小さな教室内に入って来たのは、ダグサス理事長直々だった。


「これは合宿というより旅行に近いものだからね。五輪帰還のご褒美だと思ってくれると有り難いのだが」
「…しかし、理事長……」
「旅費の心配は一切要らない。全部こちら持ちだから自分達の小遣いさえ持って行ってくれれば」
「「「行きます、理事長」」」
「うわ、ゲンキンだね君達」
「うっせ。奨学金で生活してる俺達にとってこんな美味い話あるか」
「やったー! バカンスだー!」


手を叩き合って喜ぶ3人。
それを苦笑してカーフは見守っている。
だが、ダグサスだけは何処か腹黒さを滲ませた笑みを湛えて彼女らを見ていた。






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