Please,forgive me.
□sei
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「ヴィー…」
会議室の扉を開けると、懐かしい、古き親友である少女が居た。
幾十と並ぶ椅子と一つの長テーブルの中、独り俯いていた彼女。
弾かれた様に顔を上げたその緑玉の瞳は、うっすらと濡れていた。
「エイミー…」
「ヴィー……ヴァイオレット…!」
「ずっと会いたかった」
初めて絡めた腕越しのエイミーの背中は、とても小さく儚くて。
まるであの頃の幼い少女のままの様な。
この17年間、こうする事を待ち望んでいた。
「ヴァイオレット…! ごめんなさい…本当に……」
「エイミー…」
「私、貴女に……なんて酷い事を…」
「もういいんだよ」
もう鉄格子も拘束具も何もない。
きつく抱き締め合って、初めて感じた互いの温もりが、確かにそれを実証させた。
「ごめんな、エイミー」
「ヴィー…」
「あの時、お前を置いて行ったりして」
10年前のあの日。
シルビアと共に檻の外へと歩んでしまった、悔やむべき日。
何故あの時大切な友人を置いて行ってしまったのか。
今までずっと悔やんできた。
そして、ずっと謝りたかった。
「…ごめんな」
「え……」
「もう、一人になんてさせないから」
───貴女に本当の仲間と家族を。
自分が居なくなった後、独りで哀しんだりしないように。
決して一般人の様な穏和な幸せは提供して上げれないが。
このルイゼッラで、ファミリーの一員として、彼女には残りの人生を安寧に生きて欲しい。
自分の分まで。
「ありがとう、エイミー」
「ヴィー…?」
「…ごめんな」
くぐもった彼女の声を聞きながら、小さく謝罪の言葉を呟く。
エイミーの身体にまわした両腕に力を込めながら、ゆっくり瞳を閉じた。
最後に彼女に会えて良かった。
これでもうやり残した事はない。
───俺はもう、充分生きた。
sei