ポケモソ

□ずっとずっと ぼくらは まっているから
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「君の名前はなあに?」
『僕の名前はね・・・』


あれから何日が過ぎたのだろう・・・、いや、何時間が過ぎたのだろう。
ここには朝と夜の概念が無い。
いや、あったのかもしれない。
もうわからない、僕のマスターが去ってから、時が過ぎたから。
マスターが、帰ってこないから。


「いけっヒトカゲ!」
『ひのこだね!いくぞー!』


あれはいつの時間だったろう
僕がこの世界に、マスターのために生まれ出でてから、すぐだった気がする。
この世界はマスターのためだけに存在していたから。




「・・・四天王も、チャンピオンも倒しちゃったしなぁ・・・つまんない。」
そんな声が、画面越しに聞こえたんだ
ヒトカゲじゃなくて、僕はリザードンだった。
ほかの仲間達は不安そうに画面を見上げるしかない。

ドット絵である僕達には
彼に、マスターに不安なんか伝わるわけなかった



「いいや、最初っからやろっと。」


ぷちん




「君の名前は?」
『覚えていないの?ヒトカゲだよ!』

マスターがこの世界の中では喋ることはない
でも、画面越しに本当のマスターが喋ってるのは、僕達には聞こえたんだ


「やっぱり、」

おもしろくない。






あれからどれくらいたったのだろう。
僕達に外の世界をうかがうことは出来ない。
古いふるい、ゲームボーイは
埃にまみれて押入れの奥深くに眠り込んでいるのだろうか?

それすらも僕等にはわからない
いや、もしかしたら

ただ単に、やろうと思って、やらないだけかも
時間が無いんだよ!そうだよ!



何度仲間達と
そうはげましあったことだろう
真っ暗ではない
ただ白黒のこの世界で
花が規則正しくゆれるこのせかいで



ぼくら、まってる。

マスターを、ずっと・・・・・ずっと。

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