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□実験
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好きだと言った。

何を?―トーリスを。


今まで相方として過ごしてきた中で、それは初めてのことだった。



「…好き…?俺を?」

「駄目?」


駄々をこねる子供のような口どりで。


やがて少し悩みつつ、
トーリスは口を開いた。

「…俺、
好き…とか、分かんないけど、
フェリクスのことは…」

違うと思う、と答えようとした声を遮るように、
フェリクスはトーリスの想像を遥かに超えた言葉を返した。


「ふーん…そうなるんだ…」

「…へ?」

予想外の反応に、つい間抜けな声を出してしまう。


フェリクスは続けた。
「いきなり、しかも同性に好きって言われたら、どんな反応するんかなーって思って。ちょっと実験してみただけなんよ」

「…え、えぇ?ちょっと…」

「冗談って笑われると思ったのに…トーリス本気で答えるから…」

「あ、あれは…//
もう…びっくりさせないでよー…本気で悩んだじゃん…」

「だから、ごめんって」



他愛ない会話が続く。





Until they notice their love,

How many seconds do it take―?
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