土沖novel

□CANDY RAIN
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急いで駆け寄ると

「まにあってよかったでしゃ」

自分の体より大きな傘から

紅茶色の頭が見えて

思わず笑った。

「お前わざわざ来てくれたのか?
別に良かったのに」

総悟が濡れないように

軒下へ連れて行った。

「むかえにきたのいやなの?」

頬をプクリと膨らませ
そっぽを向く。

「いや‥助かったぜ。
ありがとうな」
髪を撫でれば

「よかったでしゃぁ!」子供らしい笑顔が愛くるしい。

早く帰ろうと言わんばかりに

手を引く総悟を抱き上げ
「てか傘何で一本なんだ?」

「ひじかたしゃんにおんぶしてもらえるから」

何時もは早く死ねだの

憎まれ口しか叩かないのに‥

背中に乗せるとすぐに

疲れたのか小さな寝息を
立て眠り始めた。

腕の中の子供体温を
心地良く思いながら帰ったけな。

流石に今は迎えに来て

くれる訳ねぇよな。

灰色の空が自分の気持ちを表しているようだ。

濡れて帰るかと走った
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