土沖novelU
□小悪魔な天使
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「山崎、のど渇きやした」
はぁ‥いつものワガママがまた始まった。
「そんな事言ってさっきもジュース飲んだでしょ」
ぷーっと頬を膨らませる隊長を余所に車を走らせた。
「あ‥山崎車止めなせぇ」
キキーッ!反動で頭を
ぶつけた。
「隊長、大丈夫ですか?っていない」
ルームミラーに映る隊長の横には‥
万事屋の旦那の姿。
「総一郎君、相変わらず可愛いね」
「あ!旦那美味しそうなもん食べてやすね」
口をアーンと開ける隊長
ちょっ!やべぇよ…
こんなの副長が知ったら
俺は急いで車から降りた
「隊長、かき氷なら買ってあげますから帰りましょ」
えーっ!苺アイスがいいでさァ。
駄々をコネる隊長の手を引く黒い着流し姿。
「昼間っから何してやがる」
瞳孔全開の鬼の副長その人だった。
「多串くん?落ち着いて!まだ何もしてないからね」
ああ?ウチの総悟に手ぇ出すには百万年早いわ!
総悟帰るぞと警戒心の
ない恋人を抱き寄せる。
「旦那、待たね」
手をヒラヒラさせる。
俺の心配などお構いなしの総悟。
この天然さが後の事件を産むとは夢にも思わなかった。