土沖novelU

□手のひらにキス
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家族連れで賑わう土曜日の昼下がり

「土方さん、これ買って下せぇ?」

総悟の手に握られた物‥

それは顔ぐらいの大きさのペロペロキャンディ。

「菓子ばっか買ってどうするんだよ?」

カゴの中は色鮮やかな
菓子のオンパレード。

「だって食べたいんでさ」

総悟が見ていない隙に
幾つか菓子を戻すが気がついてない。

頭が弱くて良かったと
胸を撫で下ろす。

「ほらいいかげんで行くぞ」


もう少し見たかったのに

名残惜しそうな総悟の
手を引き食料品コーナーへ
移動した。

「今日の夕飯なんなの?」

そうだな、昨日肉だったから。

「鯖の味噌煮にする‥
それと」


特売の鯖と豆腐をカゴに
入れた。

「えーっ!魚嫌いでさ」

繋いだ手を振り切り床に座りこむ。

絶対やだ!と騒ぐ総悟に視線が集まる。

「我が儘言うなよ。骨取ってやるから」

拗ねる総悟の手をそっと繋いだ。

何とか立ち上がらせレジに向かおうとした瞬間

「あら土方君もお買い物?」


ポンと肩を叩かれた。
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