土沖novelU
□just marriage
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「隊長!少しじっとして下さい」
大きな目をキョロキョロと動かし誰かを探している。
「山崎!もういいだろィ?化粧なんかいらないでさ」
唇を尖らす仕草が愛らしい。
「何言ってるんですか。花嫁なんですから」
小さな唇に淡いピンク色の
ルージュを引いた。
出来ましたよと鏡を渡す。
「これが俺?」
何時もよりもっと美しい花嫁のヴェールを下ろした
瞬間‥
「総悟ぉ!本当に結婚
するのか?」
鼻水と涙でグシャグシャの
ゴリラが
「お父さんは許しません」と騒ぎ始めた。
ヤバイよ‥今更ドタキャンなんて洒落になんねーよ。
冷や汗たらたらの俺を
余所に
「ほらほら、今から泣いてどうするんでさ?幸せになりやすから!ネッ?」
レースのハンカチで涙を拭いた
花嫁は美しい笑顔で近藤さんと手を繋いだ。
ウエディングマーチが流れる中
愛する人の待つ場所へ
ゆっくりと進む。