土沖novel

□ささやかな幸せ
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「お帰りなせぃ、土方さん」
決まった時刻に帰る旦那様を何時ものように迎える時間が一番好き。
「ただいま、総悟」
今からご飯にしやすからねぃとキッチンに向かう奥様を腕に閉じ込め
「お前の方がいい」
と囁けば真っ赤な顔で
「後で‥食べて下せぇ」パタパタと走り去る
お前が愛おしい。

食事が終わり珈琲を入れ土方さんの隣に座る。

「ありがとう」
読んでいた本から視線を俺に移す時の顔って
なんて優しいんだろ。

「総悟?顔赤いぞ。
熱でもあるのか?」
額に大きな手が触れる。
「なっ何でもないでさ」誤魔化すようにミルクティーを飲みおそらく
真っ赤であろう顔を隠す。

そんな俺に旦那様は
クスっと笑いカップを
取り首筋に口づける。

「甘えたさんですねぃ」黒髪を漉きながら
抱きしめると
「明日から3日間出張
なんだ‥」
寂しそうな貴方の顔。
気を緩めたら涙がこぼれそうになったけど
「仕事なら仕方ありやせんねぃ?頑張って下せぇ」
ニッコリ笑い土方さんの胸に顔を埋めその代わり俺で栄養補給して下せぇとキスの雨を降らせる。
2人の長くて短い夜は
甘くて少しほろ苦かった。
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