土沖novel
□FOR YOU
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「うーッ寒い!」
降りしきる雪の中やけにカップルが目に
つくなと思いながら
見回りに出掛けた。
「山崎の奴遅ぇな」
2本目の煙草に火を点けようとしたその時
サクサクと足音が聞こえた。
「何時まで待たせ‥やが」振り向いた先には蜂蜜色のアイツの姿。
「総悟?」「俺の事が分からねぇんでさ?」
クスッと笑う。
「お前休みじゃねぇか!何やってるんだよ?」
「変わってもらいやした」冷たくなった手を握り
「見回り行きやしょう」
仕事嫌いなアイツが
しかもこんな寒い日に
どうしたんだ?と戸惑ってしまう俺。
「土方さん今日が何の日か知ってやす?」
「は?何かあったっけ」ふと周りを見渡せば
色とりどりのイルミネーション。
サンタクロースが街中にあふれている。
「クリスマスでさァ!
忘れてたでしょう?」
悪戯っぽく笑い手を引っ張って行く。