土沖novel
□ANGEL SNOW
1ページ/1ページ
いつもと変わらない朝が来た。
ただ違うのは総悟が居ないという事だ。
「寒いと思ったら雪が降ってやがる」
ちらつく雪を手のひらに
受け止めると儚く消えた
まるでアイツの人生の様に
なあ総悟。お前にも見えてるか?
昨年の冬「土方さん雪見せて下せぇ」
体に障ると思ったが暖かくして
膝に乗せ縁側で雪景色を
眺めていると
「知ってやすか?」
粉雪を手のひらに乗せ
「これはANGELSNOWって言うんでさ」
寂しそうに笑う総悟。
「何でそんな事言うんだ?」
「もし俺が死んだら粉雪が降る度に思い出して欲しいから」
俺は総悟の言葉を遮るように
細い体を抱きしめ
「死なせねぇ!来年も
また一緒に見ような」
その言葉に応えるような
微笑みを見たのが最後の姿だった。
今年もANGELSNOWが舞い降りた。
ありがとう。総悟
お前の気持ちは今も生きているから。
また来年も逢いに来いよ‥