07/26の日記

13:40
ブタっぱな
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松ばあは今日も元気だ。とみ子も元気である。
だが、りん子は少し気落ちしていた。とみ子の頭をなでながら、ため息をついている。
「なんだい、うかない顔して。うちの店先でそんな顔するのはやめとくれ。」
松ばあが店の小窓から頭をつきだし、りん子に声をかける。
が、返事のかわりに聞こえたのは、とみ子の鳴き声とりん子のため息だけだ。
「だから、なんなんだよ!
なんでため息ばかりついてんだい、りん子。
話したいことがあるんなら話しな。」
「………松ばあ。
私ね、私、さびについて考えてんのよ。松ばあも私もみんな、中身は変わんないのに、いつのまにかサビがついていくんだわ。努力しても努力しても落ちないサビが、ついてくんのよ。
なんだかあれよ。ほら。
−−−むなしさを感じるのよね。」
言いおえて、りん子はまたため息をついた。



「あんたにサビがつくのはまだまだ先だよ。
それにね、あんた、サビがつくってことはさ、頑張って生きてる証なんだよ。
頑張って生きてないやつなんかにサビはついちゃくんないよ。
あんたもため息ばっかりついてないで、良いサビつけな。」


りん子はコクんとうなずき、顔をあげたあと、とみ子の鼻に人差し指を押し当てつ、「ブー。」とやってから帰っていった。

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13:21
満足な じんせい
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「とみ子、朝御飯だよ。」
「ブフー。」
とみ子は、ねこまんまを勢いよく食べた。

食べ終わると、満足気に鼻をならし、自分の小屋のある店の裏手の庭から、松ばあの研究所となっている土間を通り、店先へでた。
そこでもう一度鼻を鳴らし、登校中の学生達を見送る。
学生達も「とみ子ー、おはよー!」と声をかけたり、頭や背などをなでて、学校へゆく。

学生達が一通り通ったあと、とみ子は一眠りする。気付けば昼になり、松ばあに昼飯をもらい、また一眠りする。

夕方になると、夕飯の買物をするおばさん達に、声をかけられ、なでられして、目を覚ます。
同じ頃に小学生達がとなりのShin NIPPORIへ駄菓子を買いに来て、帰りがけに、とみ子にちょっかいをだしにくる。男の子達はとみ子をからかい、女の子達は駄菓子をわけてやる。

やがて日も暮れ、松ばあが店を閉める。
その少し前にとみ子は土間まで入り、松ばあの片付けを待つ。
その日の売れ残りのパンをもらい、それをガツガツ食べ、庭の小屋へと帰っていく。

これがニュー大阪のかんばん娘の1日である。

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