novel3 Sunday

□とびらの向こうには
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〜とびらの向こうには〜
(ドラ●もんパロ)


私は、勉強ができない。
運動もできない。
気もきかない。
料理も裁縫もできないし、可愛くもない。
人付き合いだって上手じゃないし、甘ったれた人間だってことも知っている。


「おまえは何度言ったら分かるんだ!」
「これ、買ってこいよ」

先生には毎日怒られ、男子からはパシリに使われる始末。
女子は適度に仲良くしてくれるけれど、気を許せる友達は何人かしかいない。


とぼとぼと下を見つめながら家を目指す。
俯けば俯くほど、今日の嫌なことがよみがえってきてまた憂鬱になる。
楽しかったこともあったはずなのに、ちょっとした嫌なことですぐに忘れてしまうのは私の悪い癖だ。

「おかえり」

まだ家には着いていないはず。
なのに上空からかすかに声がする。
今度は名前を呼ばれて、はっと上を見上げた。

「ヒノエ!」

ヒノエは不思議な道具で空に浮いていた。
ふわりと私をも抱き上げ、家まで飛んでいってくれる。
ジェット機みたいに速くはないけれど、この街の誰よりも高い場所をゆっくりと楽しむ。

「もう帰る頃だと思ったから、迎えにきたんだ」
「ありがと」

ヒノエはある日未来からやってきた人間だ。
タイムマシーンが壊れて、こんな中途半端な時代にやってきたらしい。
帰ったらいきなり私の部屋に美少年がいたのだ。
私は本当にどこまで奇運なのだろうと思った。

彼は未来の道具をたくさん持っていた。
この時代から何百年後かなんて計算できないけれど、世界はものすごく発展するらしい。

ヒノエはその道具を私のために使ってくれる。
一緒に暮らしながら、いつか私たちは恋をした。

私にはなんの長所もないと言ったら、ヒノエは、そんなことないと優しく答えてくれた。
なんでも、それはヒノエだけが気付いているものだと彼は言う。


「今日もまた嫌なことがあったのかい?」
「…ん」

決して広くはない部屋の真ん中で台所から持ち出してきたお菓子を食べながら(主に私が)、ヒノエはいつも私の頭を撫でてくれる。

「楽しいこともあったはずだろ?
 ちゃんと思い出してみて。
 そうしたら笑えるだろう?」
「…ん」

ヒノエは本当に優しい。
私の頬やまぶたにキスをくれて、私がくすぐったいと笑えば、彼もしあわせそうに微笑んでくれる。



「私、ちゃんと、楽しかったことも大事にするようにする。
 ヒノエ、毎日ありがと。ヒノエは私の『楽しい』の源だね」

私が普段の感謝をこめて、決意を新たにすると、ヒノエは困ったように眉尻を下げて、目尻を赤く染めながら私を抱き寄せた。
そして、私を抱き上げて、この部屋の出入口とは別にヒノエが取り付けた扉に向かう。
この扉は異次元に繋がっている。
あの扉の向こうには、誰にも邪魔されない二人だけの空間が広がっている。

私は抱き上げられているという今の状況に、ふと恥ずかしくなりながらも、ぎゅ、とヒノエの首元にきつくしがみついた。
これから始まる、ここではない空間での甘い時間に心を震わせながら。



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かの有名などこでもいけるドアを固定で使ってます笑
遊びで書いたらなかなかもえていけませんでした!

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