雪比良隊員の秘密日記

□凶悪天然小悪魔ちゃん
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「…なぁ一護、お前ってなんでこっち側にきたんだ?」

「……?」



 黒と白の世界に建つ豪奢な宮殿の中心部は、外から見ると巨大なドーム状になっていて、そこには中庭のような空間がある。そして、その天井部には人工的に作られた太陽のような物が輝き、さらに現世と同じように昼夜が廻る――。



 死神代行である黒崎一護がこちら側にきて、まず最初に願ったのが、夜しかなく寂しい虚圏で日の廻りを感じたいということだった。



 一護に甘い藍染は、もちろん二つ返事でそれを承諾し、自ら鬼道で太陽モドキを造ると後はザエルアポロに依頼をしこの空間を創った。



 そして、程なくこの空間が完成し、喜んだ一護に感謝の抱擁をされた藍染の顔が笑み崩れ、無理な突貫工事を強いられたザエルアポロが憔悴しきっていたことはまた別の話だ。



 そんなこんなで、この広い虚圏の虚夜宮内部に広大な“中庭”が誕生し、そこは一護の気に入りの場所となった。



 そして今日も人工的に創られた朝の清々しい時間帯に、愛する旦那サマと自身の洗濯物をセッセと嬉しそうに干している一護の姿がそこにあった。


 一護と一護の旦那サマにももちろん従属官がいるのだが、身の回りのことはある程度自分一人で出来る一護はそれに頼りきらず、寧ろ率先して雑務をこなしていた。



 家を守るのが妻の役目なのだ。



 そんなマメな一護のせいで、仕事がなくなった一護付きの従属官が、「一護サマが仕事をさせてくれない」と嘆き、同僚に愚痴を言っている姿も度々見受けられた。





 爽やかに晴れ渡った中庭に面した場所にある一護たち夫婦の宮から、洗濯物をカゴ一杯に抱えて出てきた一護は、そこでスカイブルーの鮮やかな髪を持ち、鋭い視線の第6十刃グリムジョー・ジャガージャックとばったり出会したのだった。そして、一護が鼻唄を口ずさみながら洗濯物を嬉しそうに干している間中ずっと、ボーっとしながらその様子を眺めていたグリムジョーが口を開き、話は冒頭へ戻る。
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