雪比良隊員の秘密日記
□小悪魔
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「いっちごぉ〜〜!」
幼い子供の声が、虚夜宮の白い廊下に響き渡る。
自室へと向かっていた一護はその声に振り替えると、後ろからパタパタと軽い足音を立てて近づいてくるネリエル・トゥ・オーデルシュヴァンクの姿を発見する。
「ネル!」
一護は嬉しそうな笑みを浮かべ、ネルをその腕に迎えるべく、両手を広げて待ち構える。
――が、
ネルの唇がニヤッと怪しい笑みを浮かべたとたん、頭に乗った面の瞳の部分がキランっと光った。
「超加速!!!!」
――ズドンッ!!
「ぐぇ…ッ!」
文字通り懐に飛び込んできたネルの頭突きをマトモに喰らった一護は、カエルが踏み潰されたような声を出してしまった。
「…くっ、ヤるなッ」
「油断大敵っスよ、一護!」
何とか踏ん張り、後ろへと倒れ込むのを防いだ一護の腕に、落ちないように抱えられたネルは、成功したイタズラにニッコリ笑う。
いくら力を抑え、こんな小さな姿をしてはいても『十刃』に数えられるネルの力はそれなりに強い。
それでも一護はそれを咎めるでもなく、苦笑を浮かべるとポンポンとネルの頭に手を置いた。
彼女の本当の姿が、スタイル抜群の成人女性だということは一先ず頭の片隅に追いやるとして――
「で?どうしたんだ?今日は」
「別にどうもしねぇっス!ただ、一護に会いたかっただけっス!!」
「なんだ、そっか」
「なんスかぁ〜?その反応は?」
ネルに逢えてうれしくないんスか?とプクッと頬を膨らませながら文句を言うネルの可愛い態度に、一護はあはははと笑いながら歩き始めた。