雪比良隊員の観察記

□信頼と愛情と
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「…修兵から見た、東仙ってヤツはどんな隊長だったんだ?」



 そして、俺は思い切って聞いてみた。今まで何となく避けていた話題だったが、やっぱりずっと気になってたから……



「……………」



 だが、しばらく修兵は何も言わずに手を動かし続けていて、紙を滑る筆の音だけがヤケに大きく聞こえた。





 そして……





 長い沈黙の後、コトンと筆を置いた彼は「……尊敬に値する人だったよ…」と静かに答えてきた。


「………?」



 俺は思わず彼の方を振り返った。
 淡々としているようなその答えに、何故か修兵が酷く傷ついているように感じたから…


 だが、背をこちらに向けている状態では彼の表情まで見ることは出来ない。



「修…兵…?」

「そうだな……、隊長としても一人の人間としても、素晴らしい人で、あの人の事を悪く言うヤツなんか尸魂界中探してもいないんじゃないか…?」


 唯一の欠点は生真面目すぎるって事くらいだったからな。


 そう言ってハハハ…と笑う声にも元気がない。





「……………」

「……………」





 再び二人の間に降りた沈黙。俺は、なんと言えばいいのか解らなかった。





 そして………





 何時間にも感じるような長い沈黙の後、修兵が呟いた。



「……なんで気が付けなかったんだろうな…俺は…」

「……修…兵…?」

「副隊長って立場で、あの人の一番近くに居た筈なのに……」



 あの人の何を見てたんだろうな…?





 自嘲するようなその言葉には、修兵が感じていた焦燥と後悔が滲んでいて……





 俺はズキンと胸が締め付けられるのが解った。
 そして同時にこの質問をしてしまったことを後悔した。





 俺は治りきってない彼の傷口を思いきり開いてしまったのだ――





 すぐに謝ろうと、腰を浮かせ修兵の隣に行こうとする。


「来るな!」

「!?」


 たが、厳しい口調で止められた。




「……頼む、今俺かなり情けねぇ顔してっから……」


 来ないでくれ、と言われ堪らなくなった俺は布団から飛び出し、思わず修兵の背中に抱き付いていた。

 
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