雪比良隊員の観察記
□ある日曜日の出来事A
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……完全に俺のこと外見で判断してるな…コイツ
気が強くて、負けず嫌い、心根が優しくて、正義感の強い、男前だがそっち方面にはトンと疎い可愛い恋人が俺にはいる。
しつこい二人に俺は内心誤魔化さずに開き直る事を決意する。恋人が誰か言わなければいい話だ。
「…松本、解ってるならそれ以上聞くな」
「あー隊長、やっぱりそうなんですねvv」
「そうなんだぁ、冬獅郎くん小さいのに、凄いんだね!」
キャーと喜ぶ二人。
「……井上、俺はお前より年上だぞ」
やはり解っていなかった井上の発言に、ピクピク動くこめかみだったが、コイツに言ってもたぶん仕方無い。
それに、女という生き物はどうして、幾つになろうともこういう話(恋愛話)が好きで、それは現世でも尸魂界でも変わらないらしい。
だがとりあえず、相手を聞かれると色々と面倒なので先に釘をさしておくことにする。
「松本、相手が誰かとか野暮はいうなよ」
「え〜、隊長!そこが肝心なんですよぉ」
「そうだよ、冬獅郎くん!現世の人なの?」
「ノーコメントだ。」
俺はそう言うと、これ以上の詮索を避ける為に早々に家を出ることに決め、「行ってくる」と告げると井上家を後にした。
見上げた空は、抜けるように高く、さわやかな秋晴れに恵まれた。
まるで、天候にすら祝福されているような、奇妙な感慨を感じた俺は、数十分後には愛しいオレンジの髪の恋人に逢える事を考えると何となく浮き足立つのを止められず、微笑を浮かべながら先を急いだ。