雪比良隊員の観察記

□ある日曜日の出来事A
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「たぁ〜いちょ?何か良いことでもあったんですかぁ〜」


 今日初めて恋人の家を訪ねる事になり、内心かなりドキドキして少し浮かれていた俺だったが、端からみれば完璧なポーカーフェイスを貫いていた……はずだった。

 ……が、意外と鋭い松本にそんな風に聞かれてしまう。


「…いや、別に。何でだ?松本」

「だって隊長、なんだか嬉しそうですもん」


 わかりますよぉ〜、と言いつつ俺の背後からなついてくる。
 相変わらず無駄に大きな胸をギュウギュウ押し当てられ窮屈で仕方無い。

 確かに、松本の言う通りに浮かれていたのは確かだったのだが、その内容を言えば、茶化されるのが解りきっている為誤魔化す。


「松本、邪魔だ」

「え〜隊長ぉ、冷たいですよぉ〜」

「どうしたんですか?乱菊さん、冬獅郎くん」

「織姫」
「井上」


 パタパタと軽い足音をたてながら、この部屋の主である井上織姫が登場した。
 破面との戦いに備えて、現世に派遣されている俺達は、半ば図々しくも強引な松本の頼みで、ここ井上宅に間借りしている。否応なしに死神二人を自宅へと滞在させることになってしまった井上には悪かったと思うが、そこは仕方無いと諦めて貰うしかない。


(…チッ、厄介な奴が増えたぜ。)


 松本一人でもウザったく思っていたのに、井上にまで……と俺は内心毒づくが、それと悟られないよう平然と返す。


「いや、別になんでも…「織姫ぇ〜!今日の隊長、なんだか嬉しそうだと思わない?」


 ねぇ。と続けたかったのだが、俺が言い終える前に何時もの如く松本に遮られた。
 相変わらず人の話を聞かねぇ奴だ。


 松本はそのまま俺の背後から離れると、興味津々とこちらを見ている井上の側に寄っていった。
 対して話しかけられた井上は、「え〜?冬獅郎くんがですか?」と言いながら俺の間近までくると顔をマジマジと見つめてくる。
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