雪比良隊員の観察記

□カタチナキモノ
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『カタチナキモノ』



 夜の帳も降り切り、恋人たちの睦み合う時間も安らかな眠りへと変わろうとしている。


「……ン…」


 そしてここにも一人、激しく情熱的な愛撫を恋人から与えられまどろむ者がいた。

 ほのかな月明かりに照らされた身体の、至るところに紅い鬱血の跡を残すその人物は、橙色の髪をした美しい少年でシーツの上からでも均整の取れた肢体が想像できる。

 この時代特有の少年とも青年ともつかない
危うい美しさが、この少年の魅力を倍増させていた。


「…ん、ふ…」


 唇から時折漏れる悩ましげな吐息。

 普段の彼からはとても想像できない、筆舌にしがたいその色っぽさに、恋人である浦原喜助は再び下半身に熱が集中するのを感じ、思わず苦笑した。


(アタシもまだまだ若いッスね)


 泉のごとく湧き出る情動。

 他人と肌を合わせること自体初めての彼を気遣い、そこは経験知の差大人なリードで努めて優しくしようとしていたのに……

 実際、理性など最初の方で簡単に吹き飛び
、最終的には相手が気を失うまでその身体を貪ってしまっていた。





―――――





『…あっ!ああ…ンッ、も……ゆるし、て…ぇ……っ!』

『…ツ、まだですよ…黒崎サンツ!』


 衝動のままに、己自身を柔らかく包みこんでいる粘膜を擦りあげ、探し出した前立腺の膨らみと最奥とを刺激すれば、無意識に蠕動する内部がキュウっと締まり吸いついてくる



『……ツ、ひ…ぁぁぁ…!』

『…ツ!く…ツ…』


 彼は強すぎる快楽に髪を振り乱し、涙をまき散らしながら感極まったような嬌声を奏でる。その瞳にはすでに正気の色は見えない。

 彼自身からは、白濁の蜜があとからあとから溢れ出し、下腹部を濡らした精液がシーツにまで大量に滴っていた。


『…ゴクツ』


 喉が鳴る。

 あまりにも淫らな光景に、浦原は生唾を飲み込んだ。

 もちろん、こういった経験が初めてという訳ではないのだが、現在抱いている恋人の痴態は想像以上で、浦原の脳裏が熱く焼け爛れたように思考が麻痺していくのが解った。


『ひっ!…ぅ、あァァァ…』


 一護の腰が動かぬようがっしりと固定して
、ギリギリまで引き抜いた自身を叩き付けるようにして内を犯す。

 グジュ、グチャという濡れた音と肌のぶつかる音が互いの鼓膜までも犯し、高揚させる相乗効果をもたらす。

 そして、その刺激に耐えられなくなった一護が尾を引く悲鳴をあげ、何度目になるか解らない精を放った。


『あっ!ひ、ァァァ……ツツ!』

『……クツ…!』


 ビクビクと震える身体。しがみついてくる愛しいその身体を、浦原は掻き抱くようにして抱き締め、自身もまた一護内のキツイ蠕動にギュウギュウと締め付けられると、それに誘われる様にして何度目かの精を放っていた






―――――





 まるで、行為を覚えたばかりの抑えが効かない子供のような情事をしてしまった――と
、浦原はそう思う。



 初心者相手に無茶をし過ぎた。


 だが……


 そう思い反省しているつもりが、先ほどまでの激しい行為をより鮮明に思い出してしまった為に、仄かに萌していた自身の後押しをしてしまうのだから始末に負えない。


 はあ…、と苦笑と共にため息をついた浦原は、その分身を宥めるように浅い深呼吸を繰り返し、衝動が落ち着いてくるのを待った。


「本当に……愛していますよ。黒崎サン」


 ひとり小さく呟く。

 隣で眠る愛しい人は今日、自分のモノになってくれた。

 頂点を極めた後、それまで必死にしがみついていた一護の腕から力が抜け、浦原の腕の中に落ちてきた。


 自分だけのモノになった……と思った。



 老若男女問わずに魅了する一護は、誰にでも平等に接したりする。
 見た目の派手さや年相応の粗暴さも持って
はいたが、それ以上に美しい魂の持ち主で皆がそこに惹かれてやまなかった。



 もちろんそこは浦原も同様だ。



 ずっと、欲しくて欲しくて恋い焦がれて、やっとこの手に入った……


「もう絶対に離しませんよ……」


 微笑を浮かべた浦原は幸せそうにそう呟くと、まだ充分あどけなさの残る恋人の頬に優しいキスを一つ落とした。


 
end
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